【教材紹介】《はじめてのギロック》――導入期にこそ、美しい音楽を

【教材紹介】《はじめてのギロック》――導入期にこそ、美しい音楽を

こんにちは。今日は、当教室でも多くの生徒さんが愛用している教材、全音楽譜出版社《はじめてのギロック》をご紹介いたします。

◆「音楽の美しさ」を最初に出会う1冊として

《はじめてのギロック》は、その名の通り、アメリカの作曲家ウィリアム・ギロックによる作品の中から、ピアノ学習の初期段階でも演奏できるように編まれた曲集です。

◆教材としての特長

ピアノ教育の導入期にありがちな「単調な練習」だけでなく、響きの美しさや音楽の流れを感じる経験を、子どもたちに無理なく提供できる点が、この教材の大きな魅力です。

  • 短い曲の中に、明確なモチーフや構成があり、音楽的理解への足がかりとなります
  • 和音、強弱、アクセント、ペダルといった表現要素を自然に体験できます
  • 曲ごとに異なる物語性やイメージの喚起力があり、感性を育むことにもつながります

導入期の生徒でも演奏しやすい音域・難易度でありながら、ギロックらしい詩的な響きが損なわれておらず、「簡単だけれど音楽的」という貴重な教材です。

◆生徒の反応とレッスンでの活用

「ガラスのくつ」や「おばけの足あと」など、タイトルからイメージを膨らませながら演奏できる曲が多く、子どもたちも目を輝かせて取り組んでいます。

私自身も、曲の背景やストーリーを一緒に考えながら、演奏=自己表現の楽しさを感じてもらえるよう心がけています。

また、テクニック教材と並行して使用することで、無機質になりがちな練習の中に、豊かな音楽体験をバランスよく組み込むことができます。

ギロックは「子どもたちにこそ美しい音楽を」という理念を持って作品を遺した作曲家です。

《はじめてのギロック》は、その精神を最も純粋に、やさしく伝えてくれる1冊ではないでしょうか。

音楽の入り口で、豊かな音に触れること。

それは、ピアノを長く愛するための何よりの「はじめの一歩」だと感じています。